土壌汚染調査に掛かる費用はどのくらい?汚染されてた場合の対策工事の費用も紹介
土壌汚染調査の費用は、さまざまな要因によって異なります。
たとえば
- 調査場所のサイズ
- 調査方法
- 調査場所へのアクセス
- 存在する汚染物質の種類
などです。
費用の変動幅が大きいからと言って「まったく金額の見当も付かない……」という状態では、業者から出てきた見積金額が適切なのか、そうではないのか判断ができません。
この記事では
- 土壌汚染調査の概要
- 土壌汚染調査で掛かる費用
- 土壌汚染が見つかった場合の対策工事の費用
- 土壌汚染調査に掛かる費用は誰が負担するのか
上記について解説していきます。
少しの知識があるだけで、あまりにも一般的な金額とかけ離れている場合に気付けるようになります。
土壌汚染調査で損をしないためにも、土壌汚染調査に掛かる、おおよその費用を知っておきましょう。
土壌汚染調査とは
土壌汚染調査は、土壌に存在する汚染物質を特定したり、定量化したりするために行います。
土壌汚染調査の目的としては
- 土地を使用する人々の安全の確保
- 環境の保護
- 資産価値の維持
など、さまざまな理由があります。
土壌汚染調査には費用が掛かりますが、土地に汚染物質がなく、安全であることを確認することには、費用を出すだけの価値があります。
また、土壌汚染調査に掛かる費用を知ることは、現地調査費用が適切なのかを判断するために必要です。
土壌汚染調査の各工程で掛かる費用の目安
土壌汚染調査の各工程別に、どれだけの費用が掛かるのかを解説していきます。
紹介する土壌汚染調査の種類は以下のとおりです。
- 地歴調査
- 表層土壌汚染調査・土壌ガス調査
- ボーリング調査
それぞれの調査で掛かる費用を表に簡単にまとめました。
費用目安 |
|
地歴調査 |
10万円~30万円 |
表層土壌汚染調査・土壌ガス調査 |
20万円~60万円 |
ボーリング調査 |
20万円~80万円 |
各調査で掛かる費用をくわしく見ていきましょう。
地歴調査の費用
地歴調査とは、「土地の歴史を遡り、汚染リスクを予測すること」です。
たとえば、工場やガソリンスタンドなどがあった土地などは、汚染のリスクが高くなります。
この「地歴調査」に掛かる費用の目安は「10万~30万円」です。
- 収集する資料の量
- 調査項目の数
- 行政対応の有無
など、どれだけの手間をかけて調査するのかによって費用が変わります。
簡易スクリーニングと言われる「地形図」と「住宅地図」など、入手しやすい資料のみで行う調査であれば、10万円以下の場合もあります。ですが、簡易的な調査なので、法や法令で規定されている地歴調査ではありません。
表層土壌汚染調査・土壌ガス調査の費用
表層度所汚染調査・土壌ガス調査の場合、900㎡あたり「20万~60万円」が目安です。
なぜ900㎡なのかというと、土壌汚染のおそれの少ない土地の場合は、30m格子(900㎡)に対して、5地点から試料を採取するからです。
表層土壌汚染調査は
- 特定有害物質の使用履歴の有無
- コンクリートやアスファルトの被覆の有無
- コンクリートやアスファルトの厚み
- 調査地点の数
などによって、金額が変わってきます。
ボーリング調査の費用
ボーリング調査の費用は、1ヶ所あたり「20万~80万円」が目安です。
ボーリング調査の費用目安の幅が大きい理由は
- ボーリング調査の本数
- 掘る深さ
- 調査する物質の数
- コンクリートやアスファルトの被覆の有無
- 行政対応の有無
など、他にもかなり変動要素が多いので、具体的な条件を提示しての見積もりが必須になります。
汚染された土壌の対策工事の費用の目安
土壌汚染調査を実施して汚染が確認された場合、何かしらの対策工事をしなくてはいけません。
ここでは、以下の代表的土壌汚染対策工事3つを取り上げます。
- 掘削除去
- オンサイト浄化
- 原位置浄化
それぞれの費用目安は以下のとおりです。
費用目安 |
|
掘削除去 |
土工事…10,000円前後/㎥ ※深さによって変動あり 運搬工事…1㎡ 5万円~10万円 |
オンサイト浄化 |
1㎡で15,000円〜25,000円 |
原位置浄化 |
|
それでは1つずつ、費用の目安を確認していきましょう。
掘削除去に掛かる費用
掘削除去とは、汚染された土壌を場外に搬出して、掘削した部分に汚染のない綺麗な土を入れ直すといった対策工事です。
掘削除去の費用は「土工事」と「運搬工事」の2つに分かれます。
掘削除去の土工事に掛かる費用
掘削除去の土工事の金額は「汚染の深度」によって変わります。
- 深度1m以内……10,000円前後/㎥
- 深度1m以上……土留め工事などが発生するため別途追加費用有り
また、地下水の有無によっても、大きく費用が変わります。地下水があった場合には「排水処理」を行わなくてはいけないからです。
他にも、汚染物質によっては、掘削した土壌を袋に詰めなくてはいけない物なども有ります。同じ汚染範囲だとしても、汚染物質次第では2倍も3倍も費用が変わってきます。
掘削除去の運搬工事に掛かる費用
掘削した汚染土壌を処分するためには「汚染土壌処理業者」に運ばなければいけません。
その運搬費用や処分費用も発生します。
費用の目安は、1トンあたり「12,000〜17,000円」です。
処分の難易度が高い物質や、複数の有害物質を含む汚染土壌の場合1トンあたり「20,000円〜50,000円」掛かることもあります。
汚染土壌の処分費用の目安は1㎥で「5〜10万円」です。
たとえば、100㎡の範囲で深さ1mの汚染があったとします。その場合、100㎥となり「500万〜1,000万」も汚染土壌を処分するためのお金が掛かってしまいます。
また、10tダンプが入れる場所なのかどうかも重要です。
なぜなら、2tトラックでは運搬の回数が増えてしまうため、工数や運送料がさらに割高になってしまうからです。
オンサイト浄化に掛かる費用
オンサイト(現地)浄化は、現地で処理できるスペースが確保できて、300㎡以上の汚染土壌を処分する。
といった、広大な土地の場合にはおすすめの汚染土壌対策工事です。
オンサイト浄化の費用の目安は1㎡で「15,000円〜25,000円」です。
大規模な掘削除去工事と比較すると、基本的にコストは安くなります。ですが、条件面の合う合わないがあるので、対策工事を行う環境には注意が必要です。
原位置浄化に掛かる費用
原位置浄化は、掘削を行わずに原位置(その場で)浄化させる工法です。
原位置浄化に掛かる費用は
- 対象物質
- 地下水汚染の有無
- 浄化方法
などによって変わります。
たとえば、400㎥(100㎡で深さ4m)の汚染土壌を浄化するとします。その場合、各浄化方法による費用の目安は以下のとおりです。
- 地下空気吸引法……1㎥あたり約15,000円
- 化学分解……1㎥あたり約25,000円
- 揚水ばっ気……1㎥あたり約7,500円
- 微生物分解……1㎥あたり約12,500円
重金属類の汚染になると、さらに金額は上がってきます。
原位置浄化は、さまざまな方法があるので、どんな方法でどれだけの範囲を対策するのかによって大きく金額が異なってくるので、特に注意が必要です。
土壌汚染調査に掛かる費用は誰が負担するのか?
ここまで土壌汚染調査の費用と、汚染土壌の対策工事の費用について解説してきました。
「一体、これらの費用は誰が負担するの?」と思った人もいることでしょう。
土壌汚染調査にかかる費用は、土壌汚染の原因となった当事者、もしくは土地の所有者が決定し、負担しなければなりません。
責任について争いがある場合は、第三者による調停が必要となる場合があります。
まとめ
土壌汚染調査には費用が掛かるが必要な調査である。
今回の記事では、土壌汚染調査に掛かる費用について解説しました。
それぞれの調査で掛かる費用は以下のとおりです。
費用目安 |
|
地歴調査 |
10万円~30万円 |
表層土壌汚染調査・土壌ガス調査 |
20万円~60万円 |
ボーリング調査 |
20万円~80万円 |
また、万が一土壌汚染が確認された場合、対策工事が必要です。
対策工事で掛かる費用の目安は以下のとおりです。
費用目安 |
|
掘削除去 |
土工事…10,000円前後/㎥ ※深さによって変動あり 運搬工事…1㎡ 5万円~10万円 |
オンサイト浄化 |
1㎡で15,000円〜25,000円 |
原位置浄化 |
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土壌汚染調査には多くの費用が掛かります。できれば、調査をせずに費用を削減したいところです。
しかし、「土壌汚染対策法の一部改正」など、土壌汚染対策の実施を強化するように国からの要求があります。
土壌調査は必須です。
やらなくてはいけないことなのであれば、相場金額や費用目安を頭に入れて、適切な金額で土壌汚染調査を行えるようにしましょう。