実は重要な「残土」の取り扱いについて

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今回は建築現場で発生する「残土」について解説していきたいと思います。
地盤改良や整地、外構埋設配管等の施工では必ずといって良い程に余剰土(建設発生土)が発生します。

これらの土を計画地にずっと置いておく訳にはいかないので、工事現場では毎回適切な方法で処理するのですが、もし対応を間違えてしまうと最悪の場合、犯罪行為として扱われる可能性もある重要なポイントの一つです。建設発生土の種類毎の処理方法や取り扱い方法について見ていきますので、適切な産業廃棄に繋がれば幸いです。

残土とは?

残土とは工事現場で発生した土砂の総称で、正式には「建設発生土」と言います。計画地の整地や地盤改良、基礎の施工時には必ずと言って良い程出てきてしまう残土は、建設現場で発生するものではありますが、産業廃棄物には分類されません。

しかしながら気を付けなければいけないのが残土に含まれるその他の廃棄物の混入状態です。土砂には様々な物が含まれている可能性が高く、建設現場で使用されていた廃材等が混ざってしまったりもします。そうなった場合は産業廃棄物として扱われてしまう可能性があり、廃棄する時の処置やルールが異なってくるので要注意です。

特に紙屑や金属部品、ガラと呼ばれるコンクリートの破片や塊、木材、汚泥、そして有害物質等が残土に混入してしまう可能性のあるものとなります。

残土の種別と処理方法

残土はコーン指数と呼ばれる地盤の強度によってランク分けされます。
各ランクによって残土の特徴や廃棄・リサイクル方法が定められており、しっかりとした確認が必要となります。

第1種建設発生土

第1種建設発生土主に砂や礫などの事を言い、コーン指数は特に定められていません。

第1種建設発生土にランク分けされた残土は土木構造物の裏込めや道路用の盛土、土地造成等に再利用される事が多いです。また河川の堤防、工作物の埋め戻しなどにも使用される事がありますが、総じてある一定状の品質が確保されている事が重要です。

第2種建設発生土

第1種建設発生土と含まれる物は同様ですが、砂を多く含む砂質土や礫の割合が多い礫質土等は第2種建設発生土にランク分けされます。コーン指数では800kN/㎡以上の物を指します。第2種建設発生土も第1種建設発生土と同じく、土地造成や道路用地の盛土、埋め戻しのために使用される事が多い残土です。

勿論、砂と同等の品質を確保されていないと使用出来ないと言う制限はあります。

第3種建設発生土

第3種建設発生土主にコーン指数が400kN/㎡以上の粘性土で、施工性が確保されているもののみが区分されます。土地の造成や河川の堤防の建設といった用途にはある程度の品質があれば使用出来ますが、盛土や工作物の埋め戻しといった工程に使用するためには土質の改良が必要となります。

第4種建設発生土

第4種建設発生土粘性土の残土のなかでもコーン指数が低く、第3種建設発生土に該当しないものが当てはまります。定められているコーン指数は200kN/㎡で、基本的に水面の埋め戻し以外にはあまり適していません。他の種別の残土と同じように再利用する場合には土質の改良が必要不可欠です。汚泥のままでのリサイクルはできません。

泥土

泥土とは工事現場で発生してしまった水分を多く含む土を指し、泥状の残土を指しています。コーン指数は200kN/㎡未満で、かなり地盤としての強度が低い土質なので、水面の埋め戻しに再利用するのにでさえ土質の改良が必要となります。

ちなみに、「建設発生土」と「建設汚泥」は違うものです。建設現場に馴染みのない人であれば判断が難しいかもしれませんが、そもそも建設発生土は工事現場の掘削工程で発生する土や砂の総称で、建設汚泥は、施工に伴い泥水などを含んだ土砂で、「標準仕様のダンプトラックに山積みできない」、「その上を人が歩けない泥状」の状態にあるものです。

リサイクル処理

実は平成13年までは残土のリサイクルについての目標や施策が無かったのはご存知でしょうか。大量の廃棄物をどうにかするべく、国土交通省から建設資材のリサイクルを目的とした「建設リサイクル推進計画2002」が平成14年度に策定され、建設発生土の有効利用の向上も目標として掲げられています。

従来のリサイクル方法では、建設現場で発生した残土をリサイクル施設に運搬し、そこでふるい分けや土質の改良を行っていました。しかし近年では自走式土質改良機という重機が登場しており、わざわざリサイクル施設に運搬しなくても、工事現場で建設発生土の改良が可能となっており、作業期間や資材コスト、運搬費などの面で大きな活躍を見せています。

ちなみに従来のリサイクル方法として一般的だったのは固化材の添加でした。石灰やセメント系の固化材があり、発生した残土の土質に合わせた固化材を攪拌混合させる事でコーン指数の高い改良土の生産をしていました。現在でも行っている業者はあり、大量の改良土を必要とする大規模な工事の場合などにはまとまった一定量の改良土が工事期間内に必要となる為、こちらも欠かせない再利用方法となっています。

廃棄物処理法違反

産業廃棄物処理法は、正式名称を「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」と言い、排出の抑制とリサイクル、適切な処理を行う事で人々の生活環境を守る事を目的に施行されています。

廃棄物と産業廃棄物の違い

廃棄物処理法では一般廃棄物という世間一般的に言う「ごみ」と、産業廃棄物という何かしらの事業で発生した廃棄物(政令で定められたもの)の二つに分類されます。

まず初めに産業廃棄物から見ていくと、事業活動に伴って生じる廃棄物のうち、廃棄物処理法で定められた20種類の廃棄物の事を指します。主に燃えガラや廃油、金属片や木材、毒性や爆発の危険性があるものがあります。

一般廃棄物は上記の20種類以外の廃棄物の事を指します。ちなみに事業系と家庭系、特別管理の3種類に細分化出来るので、気になる方は調べてみると良いでしょう。

罰則について

廃棄物の処理に関して違法行為(不法投棄や無許可営業など)を行った際に受ける罰則です。勿論建設発生土の処理に関しても、万が一産業廃棄物が混入していて残土自体が「産業廃棄物扱い」となっているにも関わらず一般廃棄物で処理してしまっても科せられます。

不法投棄扱いになってしまった場合最高で罰金50万円、懲役10ヶ月の罰則が科された事業者もいました。また委託基準違反に関しては1000円以下の罰金、もしくは5年以下の懲役が科された事例もあります。

建設発生土の処理についてはしっかりとした知識を持ち、信頼のおける産廃業者に依頼する事が非常に重要と言えるでしょう。

まとめ

今回は建築現場で必ずと言って良い程発生してしまう残土についての解説をさせて頂きました。普段我々が生活しているなかであまり目にしない建設発生土についての知識を得る事で、今まで意識してこなかった「土」とその再利用方法と処理に関する法律について関心を持ってもらえたら幸いです。

スクラップアンドビルドが前提となっている現代社会の建築物には常に基礎となる良質な地盤が必要不可欠です。興味を持った方は是非、他にもどんな建設資材が、どんな場所に、どの様にして再利用・廃棄されているか調べてみてはいかがでしょうか。