軟弱地盤は危険!軟弱地盤によるデメリットや軟弱地盤の見分け方を解説!
地盤には「軟弱地盤」と「硬質地盤」があります。それぞれの地盤は、文字通り「”弱い”地盤」と「”強い”地盤」です。
軟弱地盤にそのまま建物を建ててしまうと、建物が傾いたり、液状化現象を引き起こしやすくなったり、かなりデメリットが大きいです。
建物を支える大切な地盤が「軟弱地盤」では、安心して建物を建てられません。
そこで、この記事では、軟弱地盤についてくわしく知るために
- 軟弱地盤とは
- 軟弱地盤になる原因
- 軟弱地盤によるデメリット
- 軟弱地盤の見分け方
これらについて解説していきます。
安全・安心な土地選びをするためには、地盤への理解が必要です。
この記事を読んで、軟弱地盤についての理解を深めてください。
軟弱地盤とは
軟弱地盤とは、建物が沈下してしまったり、傾いてしまったりするような「軟らかくて」「弱い」地盤のことです。
たとえば、30坪程度の木造住宅の場合、その地盤にはなんと60トン程度の荷重が掛かります。
軟弱地盤だと、建物の重さに耐えきれず徐々に建物が沈下していってしまいます。建物が傾いて沈下してしまう場合を「不同沈下」と言います。
また、軟弱地盤の場所では、地震が発生したときに地盤が液体状になる「液状化現象」も起こりやすいです。
液状化現象については「軟弱地盤のデメリット」でくわしく解説します。
2000年に建築基準法の改正があり、一部の建物を除き地盤調査は義務化されました。
このことは
- 建築基準法施行令第38条
- 建築基準法施行令第93条
に書かれています。
たとえば、建築基準法施行令第38条の第1項には「建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない」とあります。
参考:建築基準法における地盤に関する規定について
そして、建築基準法施行令第93条には「地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によつて、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない」とあります。
参考:建築基準法施行令第93条
地盤調査は方法によって費用が変わります。
5万円のものから、25万円前後の費用がかかってしまいます。ですが、地盤調査は義務付けられているので、必ず行いましょう。
また、もしも地盤調査によって、軟弱地盤と判定された場合には、地盤改良工事が必要です。
地盤の対策工事に関してはコチラをご覧ください。
軟弱地盤になる原因
なぜ軟弱地盤になってしまうのでしょうか。
軟弱地盤になってしまう原因は以下のようなものです。
- 海、川、田んぼなど水のあった場所を人工的に埋め立てた場合
- 地下空洞
- 盛土の締固め不足
- 周辺の地下掘削による地下水排水の影響
軟弱地盤になる原因としては、水が関係する物が多いです。
水分量の多い「高有機質土」や「飽和粘性土」は、軟弱地盤である可能性が高いでしょう。
軟弱地盤によるデメリット
軟弱地盤によるデメリットは以下のとおりです。
- 基礎が沈下して建物が傾いたり、建付けが悪くなったりする
- 液状化現象を引き起こしやすくなる
1つずつ解説します。
基礎が沈下して建物が傾いたり、建付けが悪くなったりする
軟弱地盤の上に重量のある建物を建てると、重さに耐えきれずに基礎が沈下してしまう恐れがあります。
国土交通省の「宅地防災マニュアル」によると、軟弱地盤によって基礎が沈下する場合は以下のとおりです。
- 盛土による沈下が継続している
- 軟弱地盤の厚さが異なる
- 軟弱地盤の土質が宅地内で異なる
- 盛土部と切土部にかかる
- 軟弱地盤層が厚い
- 建物の荷重が異なる
- 隣接して盛土・重い建築物ができる
- 隣接して地盤を掘削する
- 隣接した工事等で地下水汲み上げ(地下水位低下)を行う
- 緩い飽和砂質土の液状化による沈下
基礎が沈下すると、建物が傾いたり、建付けが悪くなったりします。
人間の体はとても敏感です。
建物の傾斜角度が大きくなると、人によっては「吐き気」や「めまい」を引き起こすこともあります。ひどくなると「頭痛」や「睡眠障害」まで起こるとさえ言われています。
軟弱地盤は、建物だけではなく、人体にまで悪影響を及ぼしかねないのです。
液状化現象を引き起こしやすくなる
液状化現象とは、地震によって地盤が液体化することです。
本来、砂などの粒子同士はくっついて、その粒子の間に水が入って地盤を支え合っています。
地震の揺れなどによって、粒子同士の結合がなくなり水に浮いた状態になります。このような状態となると、水よりも比重が重い建物は沈み、傾いたりします。
水の比重よりも軽いマンホールなどは浮き上がる場合があります。
液状化現象の発生により、古くは建物が倒壊するようなこともありましたが、近年の地震では、基礎の根入れ深さが浅い戸建住宅などに不同沈下が発生する事例が見られます。
軟弱地盤の見分け方
軟弱地盤を見分けるポイントは以下の3つです。
- 地名をチェックする
- 現地調査をする
- 地盤調査をする
1つずつ解説していきます。
地名をチェックする
地名には由来や歴史があります。
地名に隠されたメッセージを読み解くことで、その地盤の強度が想像できます。
以下の地名が含まれている土地は軟弱地盤である可能性が高くなります。
- 水に関連する地名
- 川、河、江、洲、浜、港、潮、池、沢、泉、岸、瀬、波、流、橋、堤、鴨
- 低地を表す地名
- 低、窪(久保)、下、谷、沢
- 農耕地を表す地名
- 田、野、原、稲
上記の文字が入っている土地の場合は、軟弱地盤であることを疑いましょう。
現地調査をする
現地を調査することで、地盤の強度がわかる場合もあります。
たとえば、軟弱地盤が疑われる場所や現象は以下のとおりです。
- 低い土地……谷地・凹地・氾濫低地(河川の両側に広がる低地)・沼沢地など
- 水が集まりやすい場所
- 水路・橋・暗渠(地下水路)
- 車両重量制限の設けられている道路
- 水田・調整池
- 盛土
- 建物の基礎や外壁にクラックのある場所
- ブロック塀や電柱が傾いている
軟弱地盤が疑われる場所や、軟弱地盤で起こる現象が見つかった場合には、地盤沈下対策について考えましょう。
地盤調査をする
地盤調査には、代表的な調査方法が3種類あります。
- ボーリング調査……孔を掘って地盤の強度や地盤の状況を調査する。20~30万円前後
- SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)……ロッド(鉄の棒)を地面に垂直に挿し、おもりを載せてどれだけ貫入するか調査する。もっとも一般的な地盤調査方法。5~10万円前後。
- 平板載荷試験……載荷板を設置して、垂直に荷重を加え、載荷板の沈下量を測定する試験です。20万円以上。
地盤調査には費用がかかってしまいますが、安心安全のため、適切な基礎形式の選択のためにも行いましょう。
まとめ
軟弱地盤を見極めよう!
この記事では「軟弱地盤」について、くわしく解説してきました。
軟弱地盤についてのまとめです。
- 軟弱地盤とは「軟らかくて弱い地盤」のこと
- 軟弱地盤では、建物の重さに耐えきれずに地盤が沈下したり、建物が傾いてしまったりする
- 液状化現象も引き起こしやすい
- 地名や現地を調査することで、軟弱地盤かどうかの予想はつく
- 軟弱地盤の判定は地盤調査を行うのが確実
「軟弱地盤である」と判明された場合には、地盤の対策・改良工事が必要になります。
しっかりと地盤の状況を見極めた上で、適切な対応を取りましょう。