地盤に適した地盤改良工事の工法とは?地盤の種類と想定されるリスクを解説

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地盤と想定されるリスク

地盤調査を実施して地質を確認することによって、液状化、地盤沈下、地すべり、地震発生時の揺れやすさなどのリスクを想定することができます。
地盤は、形成された時代の違いや地質・地層により、地震時の揺れやすさや建築物の重さによる地盤沈下などの想定されるリスクが様々です。

日本の地盤は、大別して「岩盤」「洪積層(こうせきそう)」「沖積層」「人工地盤」の4種類です。
地盤ができた年代や構成する岩石の種類はそれぞれに違いがあります。

一般的には、洪積層で形成される地盤は強固なため、宅地の利用適地です。
一方、沖積層(ちゅうせきそう)は低地に存在しており、液状化や地盤沈下などの災害リスクは高くなっています。
そして、人工地盤は全体にわたって十分な締固めが行われていないため、地盤沈下や液状化などのリスクを考慮する必要があります。

岩盤の特徴と想定されるリスクとは?

岩盤といってもその種類は多岐にわたり、それぞれ強度も異なり、風化作用を受けている岩もあります。
一般的に岩盤は堅固な地盤であり、杭基礎の支持層となりえます。
しかし、古い地質年代に形成された岩盤 は風化浸食を受けていることもあり、その分布深度に変化があったり、新鮮な層の分布に変化が見られ、 杭基礎の施工管理には難しい場合があります。

洪積層の特徴と想定されるリスクとは?

台地の地盤が良いとされているのは、台地を形成している洪積層は年代効果等により安定した土質であるためです。このため、洪積層が浅く分布する台地上に戸建住宅を建設する場合、地盤に対する問題は少ないといえます。
関東では武蔵野台地や下総台地などが洪積台地にあたります。これらの地盤は、2万年以前に組成された「礫層(れきそう)・砂層」、あるいはその上に火山灰が堆積してできた「ローム層」からなる硬質な地盤です。

ただし、台地と低地の境では腹付盛土、丘陵地内の谷底低地は谷埋盛土(たにうめもりど)による造成が施されていることが あります。
このような宅地の周辺では大規模な地震に起因して地すべりなどの災害を受けることがあります。

沖積層の特徴と想定されるリスクとは?

沖積層(ちゅうせきそう)は、約2万年前から現在の間に土砂が堆積して形成された比較的新しい地層で、「礫層」「砂層」「粘土層」「腐植土層」に区分されます。
よく締まった礫層と砂層は宅地に適した地盤といえますが、ゆるく締まった砂層の地盤で高い地下水位がある場合は、地震時に液状化が起こりやすく、留意する必要があります。
なお、粘性土地盤や腐植土(植物の残骸が堆積して形成された土質)は軟弱なため、地盤沈下を起こしやすいといった特性があります。

表土
地表面の最上部にあるのが表土で、砂や粘土と分解された植物の残骸などによって構成されています。
表土は締め固められていないので、建物の支持地盤には不向きです。住宅建設用の地盤の場合には、盛土や埋土(地面の穴や窪地などを埋めた土)などの人工的に造成した地盤も表土に含む場合があります。

粘土層(粘性地盤)
粘土層は粒子が細かい土から形成される層のことで、沖積層にある粘土層は水分を多く含んでいて、新規の建物荷重や地下水の低下による地中応力の増加により水分が抜けるに伴い、ゆっくりと収縮していきます。
この収縮を圧密といい、粘性地盤などが圧密されて地盤が低下することを圧密沈下といいます。通常、地盤沈下などのリスクが生じやすいので、建築物を建てる際には特に留意が必要です。

シルト層
シルトの粒径は、粘土より大きく細砂より小さく、特徴は粘土性地盤と似ています。建築の構造計算の実務上は、シルトは「粘性土」と同等の扱いで、土の性質は粘土層と同様で、圧密沈下を起こすことがあります。

砂層(砂質土地盤)
砂層は、シルトよりも大きな粒子で形成された地層で、水はけが良く、水分が含まれていても排水が早いため土の変形はすぐに生じ、すぐに終息します。このような砂質土地盤での変形を即時沈下とよび、圧密沈下のような長期的な沈下はほとんど発生しません。
地下水位が高く砂が緩く堆積している地域では、大きな地震が起こると液状化が発生するリスクが高く、砂質土地盤は留意する必要があります。

砂礫層
砂の中に小石などを含んでいる土で形成された地層です。砂層(砂質土地盤)と比較して、地盤が強固であるため、建造物を建てるのに適した地盤です。

住宅の建設時に地質を調べる重要性と調査方法

地層は場所ごとに特徴や性質が多様で、それぞれに大小のリスクを持っています。その地層が所有する性質を地質といい、建築物を建てる際にはその土地の地盤調査をして、地質を確認してから工事を始めることがリスクを回避するうえで重要です。

地盤を調査する重要性

地盤を調査することで、その土地の地盤の特性を確認することができ、この調査により必要な基礎工事の工程や規模、工事費用が分かります。
地盤沈下や液状化のリスクが想定される場合には、その地盤改良を実行して未然にリスクを防ぐことが可能です。
また、住宅瑕疵担保責任保険への加入には実質的に地盤調査が義務付けられており、これにより費用負担を軽減することができます。瑕疵とは、造成不良や設備の故障など、取引される土地・建物に何らかの欠陥があることを意味しています。この保険は、新築建築物に瑕疵があった場合に、補修等を行った事業者に、保険金が支払われる制度です。

地盤調査の種類は?

地盤調査には、スクリューウエイト式貫入試験(SWS)やボーリング調査などの手法が採用されています。

「SWS試験」は、建物を建てる予定の四隅と中央の計5ヵ所に、先端がスクリュー状になったロッド(鉄の棒)を垂直に地面に立て、棒の上に重りを乗せながらねじ込んでいきます。25cm貫通させるのにかかった回転数や重りの重量から地盤の強度を測ることが可能です。

また、「SWS試験」はコストがかからず狭小地で実施が可能ですが、の種類の判別は音や感触から推定しますが、硬い地盤があると深部まで貫入できないというデメリットがあります。

一方、「ボーリング調査」は、建築物の建設にあたって、地盤の強度や性質を調べることを目的としたものです。「ボーリング調査」は、地面に孔をあけて一定の深度ごとの強度を調べ、土を採取して地質を確認します。

ボーリング調査は正確な地質調査ができる点に最大のメリットがあります。標準貫入試験や液状化判定、土質調査、透水・揚水試験といった調査は、特に大規模な建物を建設時に欠かせないものです。
しかし、ボーリング調査は、コストがかかり大掛かりです。現地の状況や工期、コストなどに応じて最適な地盤調査方法を選ぶことが重要になります。

地盤を考慮した地盤改良工法

地盤調査結果で軟弱地盤であると判断された場合、リスクを避けるために事前に地盤改良工事を行う必要があります。
とは、住宅やビルといった建築物を建設する際、地盤の掘削、また、土を建設材料として地盤に使う場合に、現在の地盤では建築物を支える支持力が足りないことや安定性に欠けることがあります。そのために、人工的な処理を加えることで土質や地盤を強固にする地盤改良工事を行います。

地盤改良の代表的な工法としては①表層改良工法や②柱状改良工法、さらに③小口径鋼管工法などがあげられます。

「表層改良工法」では、セメント系固化材を現地の土と混ぜ合わせて固める工法で、軟弱な地盤の厚さが2m以内の場合に用いられる工法です。
地表面から浅い地盤だけを固める工法なので、施工が簡単で効率的で工期が短く、工事費用も少なくできます。

また、「柱状地盤改良工法」は小・中規模建築物向けの地盤改良工法です。セメント系固化材をスラリー状(固化材を水で練ったもの)とし、土と混合攪拌させ柱状の改良体を地中に築造し、建物の荷重を支える工法です。

さらに、「小口径鋼管工法」は鋼管を地中深く(最大深さ30m位)まで貫入させ、建物の荷重を支える工法です。
この工法は、土質が悪い場合や支持層が深く、表層改良工法や柱状改良工法では対応できない場合に採用されます。砂質土地盤や粘性土地盤に適応可能です。

信頼のおける地盤改良工法とは?

 

品質の良い地盤改良を実施にあたっては、現場の土質状況の正確な把握、支持層の正確な位置の把握、現場に相応しい正確な固化材の選択、設置した改良体の必要な強度の達成などが重要な要素になります。
今回は、効率的な地盤改良工事の実施、信頼のおける地盤改良の質、経済面での優位性などの観点から、ソリッドキューブ工法を紹介します。

ソリッドキューブ工法

固化工法の一つである「ソリッドキューブ工法」は、現地の土とセメント系固化材のスラリー(固化材と水を混ぜたもの)を混合撹拌して、改良体を築造する工法です。
改良体の仕上がり状況は表層改良工法ですが、最大6mの深さまで施工が可能で、混合撹拌を羽根で行う所は柱状改良工法にも近い所があります。

ソリッドキューブ工法は、ブロック状(立方体)に一体の改良体を築造します。
現地土と固化材のスラリーを混練し、流動化した改良土は締め固める手間を解消することができます。
撹拌促進ブレード付き攪拌混合装置により、リアルタイムで支持地盤の確認、可視化した試料の採取、改良土の攪拌混合状況の把握ができます。さらに、流動化した改良土の均質性のリアルタイムの確認などができます。

ソリッドキューブ工法の特徴は次のとおりです 。

  • 余剰土をあらかじめ掘削排土することで、建設残土の発生を最小限に抑えることができ工事費用を削減できます。
  • 施工箇所の中央部を掘りあるいは壷彫りすることで、支持地盤を目視で確認できます。
  • 撹拌促進ブレード付き攪拌混合装置により効率よく均質な改良体を築造することができます。
  • 施工管理装置によりリアルタイムで改良土の攪拌混合状況を確認することができる。
  • 未固化試料採取器を用いることで、施工直後に任意の位置で複数の深度から未固化の改良土を採取することができます。

まとめ

建設前に、地盤による各種のリスクの解説とリスクを避けるための未然の地盤改良工法と信頼性の高いソリッドキューブ工法を紹介しました。
信頼のおける地盤調査によって地質や地盤の強度の把握により軟弱地盤を見つけることが重要ですが、軟弱層がないことが分かれば、工事費用を削減することができます。