「土壌汚染調査の具体的な工法」や「土壌汚染を除去する工法」を紹介!

ソリッドキューブ工法協会コラム工法「土壌汚染調査の具体的な工法」や「土壌汚染を除去する工法」を紹介!

 


「土壌汚染対策法の一部改正」など、年々土壌汚染対策が強化されています。
とはいえ、土壌汚染調査に関する知識を持っていない事業者や、土地購入者がほとんどでしょう。
しかし、土壌汚染調査に関する基本的な知識がないと、調査会社の提案される内容が適切なものなのか判断ができません。

そこで、この記事では

  • 土壌汚染調査の概要
  • 土壌汚染調査の具体的な工法
  • 土壌汚染があった場合の除去方法

これらについてまとめました。
「土壌汚染調査の工法」や「土壌汚染調査の全体像」について知りたい人は、ぜひこの記事を参考にしてください。

土壌汚染調査とは

「土壌汚染調査」とは「対象となる土地の汚染の有無、また、汚染状況を知るために行われる調査」のことです。
土壌汚染調査をすることで、環境や人の健康に悪影響を及ぼす可能性を事前に減らせます。
近年では、土壌汚染問題に関する関心が高まっており、土地取引の前には「土壌汚染調査」をすることが常識になりつつあります。

土壌汚染調査の具体的な工法

土壌汚染調査の工程は3段階に分かれています。

  1. 地歴調査…土地の歴史を遡り、汚染リスクを予測すること。たとえば、工場やガソリンスタンドなどがあった土地は要注意。
  2. 表層土壌汚染調査…表層の土壌や土壌ガスを採取して、土壌の汚染状況を調査する。
  3. ボーリング調査…有害物質が規定値を超えてしまった場合はボーリング(穴を掘って)調査をする。

それぞれの段階において、適切な方法で調査すれば土壌汚染を見逃しません。
汚染されている土壌を売買してトラブルに発展……といったことにならないように、安心できる土壌汚染調査会社を選びましょう。

それでは、それぞれの調査方法ごとに、具体的な工法を解説していきます。

地歴調査

地歴調査では、新地図と旧地図を見比べたり、登記簿で土地の「発展の歴史」や「所有者」を調べたりします。
これらの情報から、土壌汚染リスクを調査します。

表層土壌汚染調査

表層土壌汚染調査は「表層土壌」で調査する方法と、「土壌ガス」で調査する方法があります。
ちなみに、表層土壌汚染調査の対象範囲は以下のとおりです。

  • 土壌汚染リスクが低い土地の場合…30m×30mに1地点
  • 土壌汚染リスクがある土地の場合…10m×10mに1地点

表層土壌で調査する方法

まず、土間コンクリート等で被覆されている場合は、コアカッターなどで削孔します。
地表面から「深さ5cmまで」の土壌を採取し、次に「深さ50cmまで」の土壌を採取します。採取完了後、調査孔をセメントなどで復旧して現場の作業は終了です。
これら2つの土壌試料を、同じ量で混ぜ合わせて、指定されている分析機関で分析してもらいます。

土壌ガスで調査する方法

まず、直径20mm、深さ1m前後の調査孔を掘っていきます。
その後、調査孔に採取管を設置し30分以上静置。土壌ガスが集まるので、減圧用の器具を用いて採取管内を減圧し採取していきます。
採取完了後、調査孔をセメントなどで復旧して終了です。

ボーリング調査

「土壌汚染の深さ」を調査していきます。
土壌汚染の平面的な広がりに関しては、表層土壌汚染調査で確認することができます。
油圧式のロータリーボーリングを使っての調査が一般的です。
ボーリングマシンが駆動し、先端に取り付けられたビットが回転します。このビットの回転とマシンによる推進で地層を掘削していきます。

土壌汚染を除去する3つの工法

ここからは、万が一、土壌汚染が確認されてしまった場合の対策方法を3つ紹介します。

  • 掘削除去
  • オンサイト浄化
  • 原位置浄化

それでは、1つずつ解説していきます。

掘削除去

掘削除去とは、汚染された土壌を掘削して、場外に運搬して処理施設に持っていき処理することです。
掘削除去がもっとも実施例の多い土壌汚染の対策方法です。

メリットとしては、掘削除去はすべての汚染物質に対応できます。また、短期間で終わることもメリットです。
ただし、施工コストが高いのが大きなデメリットになります。

オンサイト浄化

オンサイト浄化とは、汚染土壌を掘削した後に、サイト(その場)で洗浄、分解等により特定有害物質を除去する手法です。
オンサイト浄化の代表的な工法は以下のとおりです。

  • 洗浄処理…掘削した汚染土壌を、水または薬剤を用いて洗浄し、特定有害物質を取り除いた後に埋め戻す方法
  • 化学処理…掘削した汚染土壌に薬剤を添付し、特定有害物質を分解した後に埋め戻す方法
  • 抽出処理…掘削した汚染土壌を、真空抽出や添加剤を使用し、特定有害物質を抽出した後に埋め戻す方法

汚染土壌をサイト外へ運搬する必要がないため、汚染の拡散リスクが単純な掘削除去よりも少ないです。

原位置浄化

原位置浄化とは、原位置(その場)で汚染された土壌を浄化することです。
原位置浄化は「原位置抽出」と「原位置分解」に分類されます。

原位置浄化の代表的な工法は以下のとおりです。

  • 原位置化学分解…地盤へ薬剤を添加して、化学的に特定有害物質を分解する方法
  • 原位置生物分解…地盤へ微生物等を添加して、微生物の働きによって特定有害物質を分解する方法
  • 土壌ガス吸引…土壌ガス吸引装置によって、土壌中に含まれる特定有害物質を含む土壌ガスを回収して浄化する方法
  • 地下水揚水…地下水に溶け込んだ特定有害物質を地下水ごと汲み上げて浄化する方法

原位置浄化は、掘削除去よりも「経済的負担」や「環境への負担」が少ないです。

土壌汚染調査はなぜ必要なのか

ここまで「土壌汚染の調査方法」と「土壌汚染を除去する工法」について解説してきました。かなり多くのパターンや選択肢があります。
では、そもそも「土壌汚染調査はなぜ必要」なのでしょうか?

土壌汚染調査が必要な理由、それは土壌汚染の土地には多くのリスク・危険性があるからです。

土壌汚染のある土地が持つリスクは以下のとおりです。

  • 環境や人体への悪影響
  • 住民への健康被害
  • 資産価値の低下
  • 対策費用の拡大
  • 売主と買主の間でのトラブル

たとえば、「土地購入後に土壌汚染が判明したが、売主側が汚染除去費用を支払ってくれない」といったことも考えられます。

さまざまなリスクを解消するためにも、土壌汚染調査は必須なのです。

では、土壌汚染調査を行う場合に、それぞれの工程でどのくらいの費用がかかるのかを紹介していきます。
土壌汚染調査の費用についてはこちらも、合わせてご覧ください。

土壌汚染調査に掛かる費用はどのくらい?汚染されてた場合の対策工事の費用も紹介

まとめ

今回の記事では「土壌汚染の調査方法」と「土壌汚染を除去する工法」について解説しました。
土壌汚染調査は土地取引の前には必須です。

この記事の内容をまとめ。

  • 土壌汚染調査とは、対象となる土地の汚染の有無、また、汚染状況を知るために行われる調査のこと
  • 土壌汚染調査は次の3つの工程に分かれている。「地歴調査」「土壌表層調査」「ボーリング調査」
  • 土壌の汚染を除去する主な方法は「掘削除去」「オンサイト浄化」「原位置浄化」の3つ
  • 土壌汚染の対策方法は「土壌汚染対策法」によって規制されている

土壌汚染調査の概要を少しでも把握することで、土壌汚染への不安が少しは軽減されることでしょう。
また「土壌汚染調査の工法について」を紹介しましたので、次は「土壌汚染調査の費用について」の記事をご覧ください。

土壌汚染調査に掛かる費用はどのくらい?汚染されてた場合の対策工事の費用も紹介